RCEP協定 HSコード2022移行に伴う判定番号継続利用手続きについて
日本、中国、韓国、ASEAN構成国、オーストラリア及びニュージーランドの計15か国が参加するRCEP協定(アールセップ協定)が、2022年より発行しました。
RCEP協定により日本と貿易額が大きい中国や韓国と間接的にEPAが結ばれたことにより、特定原産地証明書があれば、多くの品目で関税が段階的に撤廃されるため、これから増々貿易額が伸びることが期待されます。
特定原産地証明書があれば、それまで支払っていた関税を削減又はゼロにすることができる可能性があるのです!
何もしなければ、世界のライバルたちに、差をつけられてしまいます。
せっかく用意されたRCEP協定の土俵に上がらない手はありません!
日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN10か国 (ブルネイ、カンボジア、インド ネシア、ラオス、マレーシア、 ミャンマー、フィリピン、シンガ ポール、タイ、ベトナム)
特定原産地証明書を取得する為の手順はこちらの記事をご参照ください。
RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!
日本の原産品と証明する特定原産地証明書を日本商工会議所に発給してもらうには、当然輸出する当該産品がRCEP協定に基づく原産地規則を満たしていなければなりません。
この原産地規則は、HSコード毎に定められていますので、まずは輸出する産品のHSコードを特定しなければなりません。
HSコードとは、貿易上それが何であるのか世界各国で共通して理解できるよう取り決めた共通番号のことです。
このHSコードは、5年毎に大きな改正があり、年度ごとにバージョンがあります。
HS2002、HS2007、HS2012、HS2017、HS2022
輸出国の税関及び輸入国の税関は、通関する時は最新のHSバージョン(現在はHS2022バージョン)を使用しますが、RCEP協定や他のEPAの原産地規則で使用されるHSコードのバージョンは、最新のバージョンとは限りません。
RCEP協定の場合は、HS2012が採用されています。
従って、通関時のHSコードと特定原産地証明書で使用するHSコードが異なる場合があるのです。
特定原産地証明書を取得する上で、越えなければならないハードルの1つが、このHSバージョン違いを変換しなければならない作業です・・・。
例えば、可搬式噴霧器の輸入通関時は最新のHSバーションであるHS2022を使用するのでHSコードは「842441」となりますが、RCEP協定の原産地規則で使用するHS2012には、このHSコードは存在せず、旧バージョンである「842481」に変換しなければなりません。
非常に面倒ですし、通関士などのようにHSコードに普段から接していない方にとっては、かなり難しい作業だと思われます。
RCEP協定 HS2012年版 → HS2022年版の採用決定
前述している通り、RCEP協定で使用されるHSコードのバージョンはHS2012年版を使用しておりますが、2023年1月1日より、HS2022年版を採用することが決まりました!
これにより、2022年12月31日までは、HS2012年版を使用し、2023年1月1日以降は、HS2022年度版を使用することになります!
このHSバージジョン変更により、通関時のHSコードと原産地証明書で使用するHSコードが一致し、面倒な変換作業が、次のHS2027になるまで不要になります。
実務面では非常にありがたい変更ですね!
ただし、後述致しますがこれまでHS2012で取得した原産地判定番号が、このHSコード変更により影響を受けないか確認しなければなりません!
・2022年12月31日まで・・・HS2012バージョンを使用
・2023年1月1日から ・・・HS2022バージョンを使用
2023年1月以降に発給する RCEP原産地証明書は、2022年版 HS コードに基づき原産性を判定された産品を対象に発給されます。
それまでに取得されている原産性判定番号については、HS コードの変更が原産性判定に影響を与えないことを各産品の判定申請者自身が確認しなければなりません!
RCEP協定 HSコード2012から2022に変更に伴う日本商工会議所への手続きについて
↓日本商工会議所より下記案内が出ておりますので、ご対応ください。
「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定における HS2022 に従った品目別規則の採択に伴う特定原産地証明書申請手続き等について」
↓日本商工会議所の案内より抜粋
RCEP 協定の産品判定番号を保有する企業は、HS2012 から HS2022 への変更に伴い、以下の 3 点をご確認ください。
(1)HS2022 での HS コード
HS2022 における HS コードをご確認ください。
(適用する HS コードは輸入国税関の見解が優先されます)
(2)産品の原産性
HS コードの移行に伴い、協定に定める原産性を保持しているかご確認ください。
CTC で判定依頼を行っている場合、材料の HS コードもご確認いただき、原産性をご
確認いただく必要があります。
また、原産性の保持を確認するために使用した関係資料は、各社で所定の期間保存
し、輸出国政府や関係機関等からの要請に応じて提出できるようにしてください。
(3)発給システムに登録の HS コードの確認・修正
発給システムに登録の HS コードを 2022 年 12 月 28 日(水)までに HS 移行対応プロ
グラムでご確認、必要に応じご修正ください。
「第一種特定原産地証明書発給システム」でRCEP協定HSコード移行に伴う判定番号継続利用手続きを行います。
↓システムの操作方法は、日本商工会議所で公開していますので、下記をご参照ください。
RCEP協定HSコード移行に伴う判定番号継続利用手続操作説明
HSコードの変換 便利な対比表
国際連合がHSコードバージョンの対応表を公開しています。
(UN TRADE STATISTICS CORRESPONDENCE TABLES)
非常に便利な対比表となりますので、1つのご参考にして下さい!
https://unstats.un.org/unsd/classifications/Econ
・RCEP協定 原産地規則 徹底解説
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