HSコードとは
HSコードとは、貿易上それが何であるのか世界各国で共通して理解できるよう取り決めた共通番号のことです。
貿易の世界では、世の中のあらゆるものをHSコードで分類し、このHSコードを使って輸出入通関を行っています。
今回は具体的に「ちょうつがい」を例に挙げて、HSコードをご説明致します。
ちょうつがいのHSコードは、「8302.10-000」になります。
左から6桁目まで(8302.10)は世界共通となり、7桁目以降は各国で決められた番号になります。EPAでは世界共通の6桁を使用致します。7桁目以降は使用しません。
HSコードは前の2桁を「類」、4桁を「項」、6桁を「号」と呼びます。大分類、中分類、小分類とイメージ頂ければよいかと思います。
ちなみに日本の場合は9桁でNACCS(電子申告システム)で申告する場合は、10桁目にNACCSコードが付きます。
このHSコードを正しく設定できるかが原産品を判定する上で1つの重要なポイントとなります。
ただしこのHSコードの分類は、通関の専門家である通関士のような専門知識を持っていないとなかなか難しいものと思われます。
ましてやHSコードを取り扱ったことの無い方にとって、HSコードの分類は大変難しいと思われます。
HSコードを分類する方法
では、次にどのようにHSコードを分類していくのか見ていきましょう!
ちょうつがい(Hinges)を例に、ご説明致します。
上記で記載したように、ちょうつがい(Hinges)のHSコードは「8302.10-000」です。
まずは、HSコードが掲載されている税関HPの実行関税率表にアクセスします。
税関HPの実行関税率表をクリックすると、下記のように大分類である1類〜97類までが出てきます。
ちょうつがい(Hinges)は、どの類(大分類)に分類されそうか当たりをつけます。
これは簡単そうで、実際には非常に難しいです。
当たりをつけるのには、通関士のような専門性と経験が必要です。
ここで当たりを間違うと、6桁のHSコードの特定はできません・・・。
通常はお持ちではないと思いますが、「輸出統計品目表」という、厚い本があるのですが、その一番後ろに索引がありますので、こちらから当たりをつける方法もあります。
1類~97類までを確認し、ちょうつがい(Hinges)が分類される類(HSコード2桁)を特定します。
ちょうつがい(Hinges)は、卑金属製品なので、「第83類」の各種の非金属製品に分類されます。
大分類を特定したら、次に中分類である項(HSコード4桁)の特定をしていきます。
右横の税率をクリックします。
すると、下記のように83類のHSコードが9桁まで出てきます。まずは、下記の四角で囲ったように4桁レベルで、比較しています。8301,8302,8303,8304・・・・・
4桁レベルで検討して、ちょうつがい(Hinges)は、「8302」の”取付具その他これらに類する物品”であることを確認します。
4桁レベルまでのHSコードを特定しました。
あともう少しです!次に6桁レベルのHSコードを特定していきます。すると、830210にずばり、”ちょうつがい”が記載されています。従い、ちょうつがい(Hinges)のHSコードは、「830210」と特定することができました。
今回のちょうつがい(Hinges)は、HSコードの特定としては、非常に易しい分類に入ります。
実際は、ずばり品名が掲載されていないものの方が多く、通関士でさえ、非常に頭を悩ませます・・・。
実際は、様々な資料を見ながら、HSコードを特定していきます。
例えば、HSコードを特定する際のルールというものが決められています。
むやみやたらにHSコードは決められないのです。
HSコードを分類する上で、世界統一のルールというものがあるのです。
このページでは解説は割愛しますが、「関税率表の解釈に関する通則」というものがあり、HSコードを分類する上でのルールが決められています。
また、税関のHPには、「関税率表解説」というHSコードを細かく解説したものが掲載されています。ずばり品名が掲載されていない物品は、それぞれの人の解釈によって、様々なHSコードに分類されてしまう可能性が出てきてしまうので、この「関税率表解説」に細かくそれぞれのHSコードの解説がされています。
通関士は、HSコードを分類する上で、この「関税率表解説」をかなり頻繁に見ています。
さらに、税関が回答した事例等なども見ます。
これら様々な資料や経験からHSコードを分類していきます。
HSコードを分類するのは、非常に専門的な知識と、経験が必要なのです。
HSコードを間違うと、違う産品になってしまうので、慎重に分類しましょう!
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