RCEPにおける不備ある原産地証明書の扱いについて

このページでは不備のある原産地証明書の扱いについて、ご説明いたします。

 

不備のある原産地証明書で困る人例えば原産地証明書において、スペルミスや印字ミスなどがあった場合、その原産地証明書は有効なのか無効になるのか、迷われる場合があるかと思います。

 

RCEPでは、第3章26条に原産地証明書の誤りについて記載があります。

 

結論から申し上げると、RCEP協定において軽微な表現の相違又は誤り」のある原産地証明書は(例えば、文書間の軽微な表現の相違、情報の欠落、タイプの誤り、指定された欄からのはみ出し)、無効にならず、有効な原産地証明書として認められます。

 

ただし、産品の原産品としての資格に疑いを生じさせる誤りについては、当該原産地証明書は無効になります。

 

産品の原産品としての資格に疑いを生じさせる誤りとは、例えばHSコードの誤りだったり、認定輸出者の認定番号の脱落などが考えられます。

 

軽微な表現の相違又は誤り(RCEP協定 第3章26条)

輸入締約国の税関当局は、軽微な表現の相違又は誤り(例えば、文書間の軽微な表現の相違、情報の欠落、タイプの誤り、指定された欄からのはみ出し)を考慮しないものとする。ただし、当該軽微な表現の相違又は誤りが産品の原産品としての資格に疑いを生じさせないことを条件とする。

 

「軽微な表現の相違または誤り」とはどのようなものかは、上記の第3章26条以外、具体的な規定がないため、輸入国の税関の判断になります。

 

従い、原産地証明書の誤りに気が付いた時は、事前に輸入国の税関に、輸入者を通じて確認を取ることをお勧め致します。

 

日本では、原産地証明書にどの程度の不備や誤りがあれば無効になるかについて、税関が公表しています。

 

日本の税関が公表している基準が一つの参考になるかと思います。

 

↓リンクを貼っておきますのでご参考下さい。
https://www.customs.go.jp/roo/procedure/fubi_epa.pdf

 

RCEPにおける不備ある原産地の判断(日本の税関が公表しているもの)

分野

記載項目

不備の内容

有効/無効

 

全項目共通

 

明らかな印字の誤り

有効

英語以外による記述

原則無効

原産地申告の真正性 作成年月日 有効期間が経過した原産地申告

無効

認定番号 認定番号の相違・脱落
認定輸出者の証明 認定輸出者以外の者が作成したもの、認定輸出者が認定の対象となる品目以外貨物を証明したもの
固有の参照番号 固有の参照番号の脱落
申告貨物との同一性 輸出者・輸入者の名称・住所等 輸出者名・住所のインボイスとの相違又は脱落

有効

輸入者名・住所のインボイスとの相違又は脱落、「To order」の記載しかない
インボイス番号等 インボイス番号の輸入申告のインボイスとの相違又は脱落(メーカーズインボイス番号の記載を含む)
インボイス日付の輸入申告のインボイスとの相違又は脱落
第三国インボイスに関する記載及び第三国インボイス発行者名・住所の相違又は脱落
数量又は総重量 数量の脱落、又は貨物数量との相違
包装の個数、種類、記号、番号 インボイス等との相違又は脱落
品名 インボイスとの相違又は脱落(※)
貨物の原産性 HS番号 輸入申告における適用税番との相違

原則無効

ただし、輸入者が資料に基づいて原産品であることを明らかにできる場合(文書による原産地に関する事前教示を取得している場合を含む。)は有効

脱落
協定の非譲許税番による記載
特恵基準 特恵基準等(ACU、DMI及び材料に関する記載を含む)の脱落
特恵符号等の相違
その他 RCEP原産国 相違・脱落(関税率の差異のない品目)

有効

相違・脱落(特恵符号等の記載からRCEP原産国が明らかなもの)・完全生産品(特恵符号:WO)・品目別規則を満たす産品(特恵符号:CTC、RVC、CR)で、 RCEP協定附属書T日本国の約束の表の付録に特定された品目以外のもの

有効

ただし、関税率の差異のある品目は「RCEP原産国」に よって適用される関税率が異なる点に留意すること。

相違・脱落(上記以外のもの)
最初の原産地証明に係る情報(連続する原産地証明の場合) 最初の原産地証明の番号、発給の日付、RCEP原産国、該当する場合には最初の輸出締約国の認定輸出者の認定番号の脱落

無効

 

 

上記はあくまでも、日本の税関の基準です。

 

相手国で認められるかは、相手国の税関の裁量になります。

 

よって原産地証明書の不備がある場合は、事前に輸入者を通じて、相手国税関に有効かどうか確認しましょう!

 

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