RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!

RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!RCEP協定で使用する「特定原産地証明書」を取得する為には、@どのような書類を、Aどのような手順で、Bどこに申請すればよいか徹底解説していきます!

 

ご承知の通り、特定原産地証明書があれば、それまで支払っていた関税を削減又はゼロにすることができる可能性があります!

 

ぜひ特定原産地証明書を取得して、御社の輸出貨物の価格競争力を上げ、輸出の増大及び売り上げ向上につながることを願っております!

 

何もしなければ、世界のライバルたちに、差をつけられてしまいます。

 

せっかく用意された優遇制度ですので、ぜひ利用して下さい!

 

RCEP特定原産地証明書の発給申請はどこに行えばよいか?

RCEPにおける特定原産地証明書を取得するには、どこに申請を行えばよいのでしょうか?
まずはこの点から解説していきます!

 

特定原産地証明書の発給機関は、日本商工会議所です。
従って、日本商工会議所に、必要な書類と共に、特定原産地証明書の発給申請を行います!

 

日本商工会議所が発給する特定原産地証明書を、「第一種特定原産地証明書」と言います。

 

通常はこの日本商工会議所が発給する「第一種特定原産地証明書」を利用してRCEP協定における関税削減を行います!

 

しかし、RCEPにおける特定原産地証明書の種類には、この日本商工会議所で発給する第一種特定原産地証明書以外にも、あと2種類あり、全部で3種類あります。

 

初めて特定原産地証明書を利用される企業は、第一種特定原産地証明書(第三者証明制度)を利用することになりますが、ご参考で他の2種類をご紹介いたします。

RCEPで利用できる原産地証明書の種類

@ 第一種特定原産地証明書(第三者証明制度)
A 第二種特定原産地証明書(認定輸出者制度)
B 輸出者自己申告制度 ※現時点では中国や韓国向け等では使用できません

 

Aは「認定輸出者制度」といわれるもので、経済産業大臣の認定を受けた輸出者自らが特定原産地証明書を作成するものです。認定輸出者制度を利用して作成した原産地証明書を「第二種特定原産地証明書」と言います。

 

ただし、認定を受けるためには、社内体制の整備や、第一種特定原産地証明書を半年で8回程度利用していることなどの条件があります。

 

従い、初めて特定原産地証明書を利用する方は、この認定輸出者制度は使用できません!

 

認定輸出者制度については別記事で徹底解説していますので、こちらをご参照下さい!

 

Bは「輸出者自己申告制度」といわれるもので、輸出する産品が、各協定で定められた原産地規則を満たしているか確認し、輸出者が原産品である旨の申告書を作成するものです。(輸出者が自ら作成する)

 

自己証明制度では、自らで原産品であることを証明しなければならないので、初めて、特定原産地証明書を利用する企業は、まずは日本商工会議所が発給する第一種特定原産地証明書(第三者証明制度)の利用をお勧めします!

 

第三者である日本商工会議所が、原産地規則を満たしているか確認し、不備があれば補正を求めるためです。(第三者が確認をしてくれるので、誤った原産品判定を防ぐことができるのです。)

注意点としては、現時点でRCEPにおける「輸出者自己証明制度」を利用できる輸出先は、「オーストラリア」と「ニュージーランド」向けの2か国しかありません!

 

中国向けや韓国向けの輸出には、「輸出者自己証明制度」は利用できませんので、注意ください!

 

中国や韓国向けの輸出には、現時点では日本商工会議所は発給する「第一種特定原産地証明書」または認定輸出者制度を利用して自ら作成する「第二種特定原産地証明書」の2種類しか利用できません!

 

どのような書類を、どのような手順で申請すればよいか?

次に、日本商工会議所への「第一種特定原産地証明書」の発給申請は、どのような手順を踏んで行えばよいのか解説していきます!

 

 

1) 原産地確認手順編

STEP1 輸出貨物のHSコードを特定する。

まずは、輸出する産品のHSコードを調べます。

 

原産地規則は、HSコード毎に定められていますので、まずは輸出する産品のHSコードを特定しなければなりません。

 

このHSコードを間違ってしまうと、原産地規則も変わる為、せっかく発給された特定原産地証明書も、現地の税関で無効と判断され、関税が削減できない可能性も出てきますので、慎重に調査ください。

 

HSコードは国によって桁数が異なりますが、6桁までは世界共通です。

 

HSコードがわからない方はこちらをご参照ください。

 

しかし、気を付けなければならないのが、輸入国税関との解釈の違いで、HSコードが異なってしまう場合があります。

 

優先されるのは、輸入国の税関の判断ですので、まずは利用している通関業者や、現地の輸入者を通じて、御社が輸出する産品の輸入国でのHSコードを調査することをお勧めします!

 

原産品規則を調べるのにはHSコード6桁が必要ですが、相手国の現在の関税率を調べるため、相手国で使用している全ての桁数のHSコードを調査下さい。

 

ここで注意ですが、RCEP協定で使用するHSコードのバージョンは、2022年12月31日まではHS2012版を利用し、2023年1月1日以降はHS2022版を使用しなければなりません。
しっかりと、どのバージョンのHSコードが知りたいのか指示をして、産品のHSコードを教えてもらって下さい!

<RCEP協定におけるHSコードのバージョン>

2022年12月31日までは・・・HS2012版を使用
2023年1月1日からは・・・HS2022版を使用

 

@原産地規則を調査するのに必要なHSコード・・・6桁(RCEPで定められたHSバージョン)
A現在の関税率を調査するのに必要なHSコード・・・全ての桁数(最新HSバージョン)

 

STEP2 RCEP税率が設定されているか確認する。

次にRCEP税率が設定されているか確認します。

 

RCEP税率が設定されていない産品(HSコード)であったり、そもそも関税が掛かっていない産品(HSコード)であったら、特定原産地証明書を取得しても何のメリットにもなりません。

 

必ずRCEP税率が設定されている産品(HSコード)であるか確認をして下さい。

 

確認の方法としてはいくつかありますが、下記の記事でRCEPの譲許表について解説していますので、こちらをご参照ください!

 

 

STEP3 適用する原産地規則を特定する。

原産地規則はHSコード毎に異なります。

 

原産地規則の調べ方ですが、税関HPの「原産地ポータル」を利用して調べるのが効率的です。

 

ここでは中国向けに、プリンターを輸出するケースで見ていきます。
中国向けプリンターの原産地規則はどのようなものか見ていきましょう!

 

↓まずは原産地ポータルにアクセスします。

 

 

RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!
@輸出する国を選択する。

 

A産品のHSコード6桁を入力する。
<注意>HSコードは、2022年12月31日まではHS2012版を入力し、2023年1月1日以降はHS2022版を入力してください。

 

B検索を押すと、HSコードに紐づく原産地規則が出てきます。

RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!
C中国向けの844332(プリンター)の原産地規則はCTSH又はRVC40であることが分かりました。

 

<原産地規則検索結果>
CTHS (Change in Tariff Sub Heading)・・・関税分類変更基準 HSコード6桁変更
RCV40(Regional Value Content 40)・・・・付加価値基準 40%以上

 

CTSH又はRVC40のどちらかの基準を満たせば、プリンターは日本の原産品と認められます。

 

RCEPにおける原産品判定基準で使用する記号は別記事で徹底解説していますので、こちらをご覧いただければ更に理解が深まると思います。

 

ぜひこちらも参照してください!

 

STEP4 原産地規則を満たすか確認し、証明書類を作成等行う。

中国向けのプリンター(844332)の原産地規則が分かりました。

 

次に中国向けのプリンター(844332)が原産地規則を満たすことを証明する資料を作成していきます。

 

ここで作成する資料は日本商工会議所に原産品判定を行う際に添付する資料となりますので、間違いが無いようにしっかと調査し、作成するようにしてください。

 

ここが特定原産地証明書を取得する上での最大の山場となります!

 

関税分類変更基準(CTC)での証明書類の作成について

関税分類変更基準で準備しなければならない書類は、以下となります。

@対比表
A総部品表
B製造工程フロー図
Cその他必要に応じてサプライヤー証明書等

↓詳しい作成方法は別記事にまとめておりますのでこちらをご参照ください!

 

付加価値基準での証明書類作成について

付加価値基準で準備しなければならない書類は、以下となります。

@計算ワークシート
A総部品表
B製造工程フロー図
Cその他必要に応じてサプライヤー証明書等々

 

↓詳しい作成方法は別記事にまとめておりますのでこちらをご参照ください!

 

STEP5 RCEP原産国を確認/決定する。

RCEP協定は15か国が参加する多国間経済連携協定です。

 

RCEP協定の大きな特徴の一つとして、「CPTPP」や「アセアンEPA」などとは異なり、相手国によって「税率差」があることです。

 

税率差とは、例えば日本から中国への輸入は10%の関税がかかるのに対し、ベトナムから中国へは3%の関税しか掛からないなどです。
この例では日本とベトナムの税率差は7%あるということになり、当然ベトナムから中国に輸出した方が有利になります。

 

この税率差を利用し、日本でほぼ完成品になっているにも関わらず、ベトナムに迂回輸出し、そこで簡易な付加価値を付け、税率の低い国(ベトナム)を迂回することにより、関税を削減する不正が考えられます。

 

迂回輸出により本来あるべき原産国を偽り、関税を不正に削減することを防ぐため、RCEP協定では「RCEP原産国」の確認・決定が必要になります。

 

簡単に要点だけ解説すると、ほとんどの産品のRCEP原産国は、原産地規則を満たした国がRCEP原産国となりますが、税率差のある特定のHSコードの場合は、@産品毎の原産地規則に加え、A更に原則20%以上の付加価値が必要となります。

 

これを「税率差ルール」とも言います。

 

税率差のある特定のHSコードの場合は、原則この@とAを満たした国が「RCEP原産国」となります。

 

繰り返しになりますが、税率差のある産品(HSコード)の場合は、@原産地規則を満たしているかの確認+A生産国での付加価値20%以上あることの2つを確認しなければなりません!

 

では税率差のある産品(HSコード)とは、具体的にどのようなものでしょう??

 

税率差のある産品(HSコード)は、税率差ルールと共に下記の記事にて徹底解説していますので、こちらをご参照ください!

 

 

2)日本商工会議所への申請手順編(発給システム利用)

STEP6 企業登録

STEP5までで、輸出する産品の原産性が確認と証明書類の作成ができました。
いよいよ特定原産地証明書の発給申請に進んで行きます。

 

特定原産地証明書の発給は、経済産業省から委託を受けた日本商工会議所が行っています。
そして特定原産地証明書発給システムを使用して、手続きをしていきます。

 

まず最初に行わなければならないことが、システムを利用するために「企業登録」です。

 

日本商工会議所のHPより登録を行います。

 

RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!
法人の場合は、法人の方のボタンを押し、必要事項を記載し企業登録及びサイナー登録を行います。

 

入力が完了したら、登録申請書の印刷を行い、法人の場合は「履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内の原本)と共に、個人の場合は「戸籍抄本」、または「住民票の写し」(双方とも、発行から3ヶ月以内の原本)と共に、日本商工会議所に郵送し企業登録を行います。

 

またその時にサイナー登録も行います。
サイナー登録とは、特定原産地証明書に表示される自筆のサイン(署名)を登録します。

法人の場合:「履歴事項全部証明書」が必要
個人の場合:「戸籍抄本」又は「住民票の写しが必要

 

日本商工会議所で企業登録等が終了すると、郵送で完了のお知らせが郵送されます。
企業登録番号や、特定原産地証明書発給システムのURLやユーザーID、パスワードが届きます。

 

ユーザーIDとパスワードは、第一種特定原産地証明書発給システムにログインするときに使用しま
すのでしっかり保管しておきましょう。

 

また、企業登録の有効期間は「書類の提出から2年間」です。
期限の60日前から更新手続きができます。

 

STEP7 原産品判定申請

日本商工会議所に企業登録が済んだら、次に輸出する産品がRCEP協定に定められる原産地規則等を満たしている「特定原産品」であるか、日本商工会議所に判定審査を依頼します。

 

第三者である日本商工会議所が原産品判定を行います!

 

原産品判定依頼は、特定原産地証明書発給システムより行います。
必要事項を入力し、またSTEP5で作成した原産品であることを証明する資料を添付して申請を行います。

 

日本商工会議所より、原産品について不明な点等があれば問い合わせが来ますので、何度かやりとりする場合があります。

 

審査の結果、産品が日本の原産性と認められれば「原産品判定番号」が与えられます。

 

原産品判定結果の有効期間はありません。

 

原産品であると判定された輸出産品については、判定依頼の際に提出した資料の内容に変更がない限り、その判定結果を使用して、同一の輸出産品についての第一種特定原産地証明書の発給申請を繰り返し行うことができます。

 

しかし、その産品の生産に関する材料調達先や材料価格の変化、生産場所の変更等などがあり、当該協定の原産性を満たさなくなった場合は、改めて原産品判定を行ってください。

 

これで原産品判定依頼は終了です。

 

また、原産品判定依頼をできるのは、輸出産品の生産者又は輸出産品の輸出者となりますので注意ください。

 

官公署に提出する書類の作成や、これらを官公署に提出する手続きについて代理することを業とする行政書士も、生産者又は輸出産品の輸出者に代理して行うことができます。

 

STEP8 第一種特定原産地証明書 発給申請

いよいよ、最後の工程となりました。

 

インボイス及びパッキングリストに基づいて、日本商工会議所に特定原産地証明書の発給申請を行います。

 

当然ですがSTEP7で取得した原産品判定番号を取得した産品しか発行できませんの注意願います。

 

RCEP協定の場合、特定原産地証明書の発給は、紙ではなくPDFで行います。
紙でのやり取りが無いため、非常にスピーディーです。

 

ここで注意点ですが、「特定原産地証明書」は船積みの都度、必要となります!

 

STEP7で解説した原産品判定は、1度行えばよいですが、発給申請は船積み毎に行わなければならないため、注意して下さい!

これで、特定原産地証明書の取得について一連の手続きは終了です。

 

また発給に掛かる費用も気になるかと思います。

 

こちらの記事で、発給手数料について徹底解説していますのでこちらをご参照ください!

 

STEP9 相手国におけるRCEP協定税率の適用

特定原産地証明書を入手したら、輸出相手国に送付し、現地側で産品の輸入通関を行う際に、この特定原産地証明書を税関に提出し、関税を減免又は免税してもらいます。

 

RCEP協定の場合は、紙での発給ではなくPDFでの発給となりますので、メールで添付して輸出先に送付してください。

STEP10 必要に応じて相手国からの検認に対応

事後に相手国から、「特定原産地証明書」に記載の貨物が、本当にRCEP協定の原産地規則を満たしているかどうか、後で調査が入る場合があります。

 

これを事後確認(検証)と言います。

 

関係書類の保管期間はRCEP協定の場合、3年間です。
最低でも3年間は関係書類一式を保管し、いつでも必要な書類を出せるようにしておいてください!

 

詳しくはこちらの記事をご参照ください!

 

 

お疲れさまでした。
これで一通りの説明が終了しました!

 

RCEP特定原産地証明書を取得する為の申請方法 徹底解説!なかなか複雑ですよね?

 

特に証明書類を作成する工程は、HSコードなどの専門知識が無いと難しいかもしれません。

 

今回は、大きな流れをご説明させて頂いたので、詳細について悩まれる場合が、きっとあると思います。

 

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