認定輸出者制度について徹底解説!(第二種特定原産地証明書)

認定輸出者のメリットは何?

認定輸出者のメリットとして大きく2つあります。

 

1つ目は、認定輸出者は日本商工会議所に対する原産地証明書の発給申請の手続を行うことなく、自ら原産地証明書を作成することができるため、日本商工会議所による原産地証明書の発給に係る手数料が不要となることです。

 

2つ目は、日本商工会議所による第一種原産地証明書の発給には、審査等のための一定の事務手続期間が必要ですが、認定輸出者の場合は、必要なタイミングで迅速に原産地証明書の作成が可能となることです。

 

各協定で使用できる3つの原産地証明書

認定輸出者制度を見ていく前に、特定原産地証明書にはどのような種類があるのか見ていきましょう!

 

各EPAで利用できる原産地証明書には大きく3つの種類があります。
それぞれ見ていきましょう!

 

1つ目は、第三者発給制度といわれるもので、日本商工会議所が発行する「第一種特定原産地証明書」です。一番よく使用する特定原産地証明書です。

 

2つ目は、認定輸出者制度といわれるもので、経済産業大臣の認定を受けた輸出者自らが特定原産地証明書を作成するものです。この制度を利用して作成した原産地証明書を、「第二種特定原産地証明書」と言います。

 

3つ目は、自己申告制度といわれるもので、輸出する産品が、各協定で定められた原産地規則を満たしているか確認し、輸出者が原産品である旨の申告書を作成するものです。

 

各協定で使用できる特定原産地証明書の種類

各EPAで使用できる原産地証明書が決まっています!

 

「認定輸出者制度」や「自己証明制度」を利用すれば、輸出者自らが各協定の原産地規則を満たした産品であることを証明することができ、作業効率の効率化が図れます!

 

しかし、自ら証明することになるので、協定の原産地規則の理解や、HSコードなどの貿易周辺知識も必要になってきます。

 

ご自身で証明することが不安な場合は、日本商工会議所が原産品であることを証明してくれる第三者証明制度(第一種特定原産地証明書)を利用されることをお勧め致します。

 

各協定で認められていれば、第三者証明制度、認定輸出者制度、自己証明制度のいずれを使用しても大丈夫です。(下記の表をご確認ください。)

 

利用しやすい制度をご利用ください。

 

EPA/FTA

第三者証明制度
(第一種特定原産地証明書)

認定輸出者制度
(第二種特定原産地証明書)

自己証明制度
日シンガポール - -
日メキシコ -
日マレーシア - -
日チリ - -
日タイ - -
日インドネシア - -
日ブルネイ - -
日アセアン - -
日フィリピン - -
日スイス -
日ベトナム - -
日インド - -
日ペルー -
日オーストラリア - 〇 ※2
日モンゴル - -
CPTPP(CPTPP) - - 〇 ※2
日EU - - 〇 ※2
日英 - - 〇 ※2
日米貿易協定(日米FTA) - - △ ※1
RCEP協定 △ ※3

※1 日米貿易協定は「輸入者自己申告制度」のみ採用されています。
※2 「輸出者自己申告制度」及び「輸入者自己申告制度」が採用されています。
※3 RCEP協定では、「輸入者自己申告制度」は利用可能ですが、「輸出者自己申告制度」はオーストラリア向けとニュージーランド向けの貨物に限られます。

 

認定輸出者制度が使用できるEPAとは?

上記の一覧表からわかるように、認定輸出者制度が使用できる協定は、@日スイスEPA、A日ペルーEPA、B日メキシコEPA、CRCEPの4協定のみです。

 

この4つの協定は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者自らが、「第二種特定原産地証明書」を作成できる認定輸出者制度が導入されています。

 

この第二種特定原産地証明書を作成することができる輸出者のことを「認定輸出者」といいます。

 

認定輸出者になるための認定要件

認定輸出者になるための要件として以下の3つが挙げられます。

 

(1) 第一種特定原産地証明書の発給を定期的に受けていること

この要件は、日本商工会議所が発給する第一種特定原産地証明書の発給を概ね半年で8回以上受けていること。(どの国とのEPAでも構いません)

 

原産地規則を理解しているか及び、適正に発給を受けていることを確認します。

 

(2) 社内責任者等の配置

この要件は、輸出者自らが第二種特定原産地証明書を作成できる社内体制が整っていることです。具体的には以下の人員を配置し、適切に業務を遂行できる体制が構築されているか確認します。

 

@統括責任者を配置すること

統括責任者とは、社内の証明書作成業務全体を総括管理する者です!

 

統括責任者の指揮監督権限や、社内における原産地証明書管理ルールを定めた内部規定等を作成することを、お勧め致します。

 

また、法令業務責任者や証明書作成業務担当者、経済産業省等との連絡体制を示す「組織体制図」等を作成します。

 

 

A法令業務責任者を配置すること

法令業務責任者とは、原産地証明書の作成に係る法令に定められている業務を適確に実施できる者です。

 

具体的には、下記の@〜Eの業務について適確に管理する者をいいます。

<業務内容>
@経済産業大臣への変更の届出(法第7条の6)
A帳簿の記載(法第7条の7)
B第二種原産品誓約書交付者への通知(法第7条の8)
→生産者から誓約書の交付を受けない場合は不要です。
C原産品でなかったこと等の経済産業大臣への通知(法第7条の9)
D書類の保存(法第7条の10)
E法令に基づく処分の遵守の確保(法第7条の11及び12)

 

※法とは「経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律」をいう。

 

上記業務内容の中で、A帳簿の記載、B第二種原産品誓約書交付者への通知、D書類の保存について、具体的に何をしなければならないのか、疑問に思われると思いますので、さらに解説していきます。

 

帳簿には何を記載すればよいか?

認定輸出者は、作成した第二種特定原産地証明書ごとに下記の事項を記載した帳簿を「本店又は主たる事務所」と「証明書作成業務を行う事務所」でそれぞれ作成しなければなりません。

 

ただし、「本店又は主たる事務所」と「証明書作成業務を行う事務所」が同一であり、かつ、他に証明書作成業務を行う事務所がない場合には、1つの帳簿に記載しても大丈夫です。

 

<帳簿への記載事項>
(1)「本店」又は「主たる事務所」に備え付ける帳簿の記載事項
(イ)第二種特定原産地証明書を作成した年月日
(ロ)第二種特定原産地証明書を作成した物品の品名
(ハ)第二種特定原産地証明書を作成した事務所の所在地

 

(2)証明書作成業務を行う事務所ごとに備え付ける帳簿の記載事項
(イ)第二種特定原産地証明書を作成した年月日
(ロ)第二種特定原産地証明書を作成した者の氏名
(ハ)第二種特定原産地証明書を作成した物品の品名、数量及び関税番号
(ニ)第二種特定原産地証明書が作成された物品の輸入者の氏名又は名称及び住所
(ホ)第二種特定原産地証明書の作成の用に供した仕入書等に識別のための番号が
   記載されている場合にあっては、その番号
(ヘ)第二種特定原産地証明書の作成に当たり、第二種原産品誓約書の交付を
   受けた場合にあっては、次に掲げる事項
  @第二種原産品誓約書交付者の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに
   第二種原産品誓約書交付者が法人その他の団体である場合にあっては、
   その代表者の氏名
  A 第二種原産品誓約書の交付を受けた年月日

 

第二種原産品誓約書交付者への通知について

生産者からの誓約書の交付を受けて原産地証明書を作成したときは、認定輸出者は原産地証明書の作成後速やかに、当該誓約書を交付した生産者に対して、証明書を作成した旨と作成年月日を通知しなければなりません!

 

第二種特定原産地証明書は、生産者から誓約書を受けて(原産品であることを誓約)、作成することができますので、当該誓約書を使用して第二種特定原産地証明書を作成した場合は、当該誓約書を交付した生産者に対して、通知しなければなりません!

 

誓約書の交付を受けていない場合は、この通知義務は当然ありません!

 

書類の保存について

第二種特定原産地証明書を作成した翌日から起算して下記の期間、関係書類を保存しなければなりません。
(1)日メキシコ協定 5年
(2)日スイス協定  3年
(3)日ペルー協定  5年
(4)RCEP協定  3年

 

また、関税法では、輸出は5年間、輸入は7年間の保存義務がありますので、貿易関連書類は、社内的な混乱を避けるため、法令で定められた最長期間である輸出入許可の日から7年間保存しておけば、安心ではないでしょうか?

 

ぜひ検討してみて下さい!

 

B「証明書作成業務担当者」を配置すること

証明書作成業務担当者とは、日本商工会議所から原産品判定を受けた物品について、「特定原産品であることを明らかにする資料」の作成に関する事務に携わったなど、一定の実務経験がある者です。

 

(3)連絡体制の構築

この要件は、経済産業省からの情報提供要請等に対応するための経済産業省 原産地証明室との連絡体制や、生産者との連絡体制(輸出される物品の生産に係る情報の収集等の協力体制など)を整備していることです。

 

社内や外部との連絡体制を構築しましょう!

 

 

認定輸出者になるためにかかる費用と認定の有効期限

認定輸出者になるためには最初に登録免許税法に基づく登録免許税として9万円が必要となります。

 

また、認定輸出者は3年ごとに認定の更新が必要となり、その際には、更新手数料5,000円(電子申請の場合は4,550円)のみ必要となります。

 

認定輸出者に必要な書類

必要書類を作成し経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理課 原産地証明室に申請します。

 

@認定申請書
A定款
B登記事項証明書
C役員の氏名及び略歴を記載した書類
D欠格条項に該当しないことを誓約する書面
E協定等を遵守する旨を説明した書類
F輸出に関する実績及び計画を記載した書類

 

第二種特定原産地証明書の作成について(記載申告文)

経済産業大臣により認定を受けた輸出者には、認定番号が付与されます。

 

認定輸出者は、輸出する物品が各経済連携協定に基づく原産品であると認めることができる場合には、自ら原産地証明書(第二種特定原産地証明書)を作成することができます。

 

また、認定輸出者が輸出する物品の生産者でない場合には、物品の生産者が輸出国との協定における原産品であるとの情報又は原産品であることを誓約する書面(第二種原産品誓約書)に基づいて、原産地証明書を作成することができます。

 

認定輸出者が作成する原産地証明書については、各経済連携協定で定められた様式はなく、当該物品に係る仕入書(インボイス)に、経済産業省から賦与された認定番号と、各経済連携協定で定められた申告文を英文で記入することにより、原産地証明書として認められます。

 

日スイス協定の場合の第二種原産地証明書の例(経産省HPより)

 

<日スイス協定附属書二の付録三 原産地申告の申告文>
"The exporter of the products covered by this document (Authorisation No.認定輸出者の認定番号)declares that, except
where otherwise clearly indicated, these products are of (Japan) preferential origin."

 

<日メキシコ協定統一規則附属書三 原産地申告の申告文>
“The exporter of the goods covered by this document (Authorization No 認定輸出者の認定番号)declares that, except where otherwise clearly indicated, these goods are of Japan/Mexico preferential origin under Japan-Mexico EPA/Mexico-Japan EPA.”

 

<日ペルー協定附属書四 原産地申告の申告文>
“The exporter of the goods covered by this document (Authorization No 認定輸出者の認定番号)declares that, except where otherwise clearly indicated, these goods are of (Japan) preferential origin under Japan-Peru EPA/Peru-Japan EPA.

 

(場所と日付)

 

<RCEP協定 原産地申告の申告文>
認定輸出者が作成する原産地証明書については、様式はなく、認定輸出者は、輸出する物品がRCEP協定に基づく原産品であると認めることができる場合には、当該物品に係る商業上の文書(仕入書、納品書等)に、RCEP協定附属書三Bに定められた必要的記載事項を記述することにより、英語で原産地証明書を作成します。

 

経済産業省が公開している必要的記載事項がすべて記載してある原産地証明書のひな形をご紹介いたします!

 

 

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