同意通知書とは

 

取引先から特定原産地証明書を取得したいので、原産品同意通知書を提出して欲しいと言われたことはないですか?

 

産品の生産者である御社が、特定原産地証明書の発給機関である日本商工会議所に、原産品判定依頼申請を行い、御社の産品が原産品と認められれば「原産品判定番号」が付与されます。

 

そして御社の産品に付与された「原産品判定番号」を、取引先に使用してもいいですよと、通知することを同意通知と言います。

 

御社の産品は原産地判定が済んでいるので、取引先は輸出の度に、日本商工会議所に発給申請だけを行い、特定原産地証明書を取得します。

 

この一連の作業は全て、日本商工会議所の特定原産地発給システムで行います。
同意通知書というので「紙」だと思われるかもしれませんが、システムで全て行います。

 

なぜ、御社が日本商工会議所に原産品判定をしなければならないかというと、取引先は御社の産品の中身が分からない為です。
中身が分からないので、原産品判定はできませんよね・・・

 

ですので取引先は産品の生産者である御社に、同意通知を頼むのです。

 

では具体的に御社は何を行わなければならないのでしょうか?
一緒に見ていきましょう!

 

 

@どの協定を使用するのか取引先に確認する。

各協定により、原産地規則が変わってきますので、取引先にどこ向けに輸出するのか確認しましょう!

 

そして各協定により使用するHSコードの年度が変わってきます。

 

HS2002年を使用する協定
  • 日シンガポール経済連携協定
  • 日メキシコ経済連携協定
  • 日マレーシア経済連携協定
  • 日フィリピン経済連携協定
  • 日チリ経済連携協定
  • 日ブルネイ経済連携協定
  • 日インドネシア経済連携協定
  • アセアン包括的経済連携協→2023年3月からはHS2017に変更になります。
  •  

    HS2007年を使用する協定
  • 日ベトナム経済連携協定
  • 日スイス経済連携協定
  • インド包括的経済連携協定
  • 日ペルー経済連携協定
  •  

    HS2012年を使用する協定
  • 日オーストラリア経済連携協
  • 日モンゴル経済連携協定
  • TPP11(CPTPP)協定
  • RCEP協定 →2023年1月からはHS2022に変更になります。
  •  

    HS2017年を使用する協定
  • 日EU経済連携協定
  • 日米貿易協定
  • 日英包括的経済連携協定
  • 日タイ経済連携協定
  •  

    A産品のHSコードを特定する。

    次に御社の産品のHSコードを特定します。

     

    日本のHSコードは9桁ですが、EPAで使用するHSコードは6桁で大丈夫です。HSコード6桁を特定していきます!

     

    HSコードにより、原産性を判断する基準が異なってきますので、非常に重要な作業です!

     

    「HSコード」とは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding  System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められたコード番号です。

     

    HSコードとは貿易上それが何であるのか世界各国で共通して理解できるよう取り決めた共通番号のことです。輸出入される貨物全て、HSコードに変換し、HSコードにて輸出入通関を行います。

     

    HSコードは通関士のような専門職の方ではないと、なかなか馴染みがないと思われます。
    またHSコードを特定するのは、かなりの専門知識が必要になります。

     

    HSコードは税関ホームページに掲載されていますので、こちらから特定してきます。
    https://www.customs.go.jp/tariff/index.htm

     

    ただ専門知識が必要になりますので、現実的には通関業者に聞いたり、当事務所のような専門行政書士に聞いたりするのがよろしいかと思われます。

    ↓こちらもご参照ください。

     

    B使用するEPAの原産地規則を確認し、どの基準を満たせば日本の原産性を有することができるか確認する!

    次に確認することは、使用するEPAの原産地規則(ルール)の確認をしていきます。

     

    確認する方法としては、協定を読み確認するのもいいですが、より簡単に確認する方法として、税関HPの「原産地規則ポータル」から確認するのがよいでしょう。

     

    原産地規制ポータルへのリンク

    こちらをクリック

     

    例えば今回は日タイ経済連携協定を使用し、「ちょうつがい」の原産地規則を見てみます。

     

    @どの協定の原産地規則を調べるがチェックを付けます。今回は国名にタイを選択します。

     

    A調べたいHSコード6桁を品目欄に入力します。今回は「ちょうつがい(Hinges)」のHSコード「830210」を入力します。

     

    B「検索/Search」を押し、原産地規則を確認します。

     

     

    すると、ちょうつがい(Hinges)」の原産地規則が検索されました!
    今回は日タイ経済連携協定なので、上部のタブで日タイ経済連携協定を選択します。

     

    「ちょうつがい(Hinges)」が日本の原産品と認められるためには、以下の基準を満たさなければなりません。

     

    CTH 又は QVC40

    CTH・・・HSコード4桁変更

    QVC40・・・付加価値40%以上

    上記の原産地規則を解説すると、大きく2つの基準があり、そのいづれかを満たせば日本の原産品と認めることができます。

     

    1つ目の原産地規則は関税分類変更基準(HS変更基準)、2つ目の原産地規則は付加価値基準ということが分かります。

     

    どちらを使用してもよいのですが、管理の面では関税分類変更基準を使用することをお勧めします。

     

    なぜかと申しますと、付加価値基準の場合、使用している部品の価格や、為替などにより付加価値率が変動する場合があるので、定期的に基準を満たしているのか確認が必要になります。

     

    一方、関税分類変更基準は原則価格には影響されないからです。もちろん金属製だった部品が、プラスチック製に変更になった場合などは、変わってきますがあまり無いかと思われます。

    C原産地規則を満たしていることを裏付ける資料を作成(対比表や計算ワークシート等)

    次に、御社の産品が実際に上記Bで確認した原産地規則を満たしているのか確認をしていきます。

     

    今回は、関税分類変更基準を使い、ご説明致します!

     

    関税分類変更基準(CTC)で必要な書類
    対比表
    対比表に記載された材料・部品で製造されることを裏付ける資料

    ・総部品表・製造工程フロー図 等

    原産と扱った材料・部品については、その原産性を示すための根拠となる資料

    ・サプライヤー証明書、材料・部材が原産品でであることを示す資料等

    基本的には、@対比表、A総部品表、B製造工程フロー図の3点がマストになります。

     

    @まずは、産品を構成している材料・部品を調べ、総部品表を作成します。

     

    Aそして総部品表の材料・部品を対比表に転記し、HSコードを確認し、HSコードが変更されているか確認をしていきます。

     

    関税分類変更基準はこのHSコードの確認が一番重要な部分になります。

     

    対比表の記載例

     

    HSコードが4桁レベルで変更されていることを確認します。HSコードを対比させているので「対比表」と呼んでいます。

     

    対比表は正式なフォームなどはなく、任意のフォームで大丈夫です。
    参考で経産省が公開しているフォームをリンクしておきます。
    対比表フォーム(経産省HP)

     

    Bそして、対比表を裏付ける資料として、誰が、どこで、どのように製造されたか分かる資料を作成します。これが製造工程フロー図又は生産工程表と言われるものです。
    こちらも任意のフォームで結構です。

     

    ※生産工程表の例

     

    これで、「ちょうつがい」が、日タイ経済連携協定における原産品であることを証明する裏付け資料が作成しました!

     

    いよいよ、次に特定原産地証明書発給システムを使っていきます!

    D日本商工会議所に企業登録を行う

    まずは、特定原産地証明書発給システムを利用できるように、日本商工会議所に「企業登録」を行います。

     

    日本商工会議所のHPより登録を行います。
    こちらをクリック

     

     

    法人の場合は、法人の方のボタンを押し、必要事項を記載し企業登録及びサイナー登録を行います。

     

    登録したら、登録申請書の印刷を行い、法人の場合は「履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内の原本)と共に、個人の場合は?「戸籍抄本」、または「住民票の写し」(双方とも、発行から3ヶ月以内の原本)と共に、日本商工会議所に郵送します。

    法人の場合:「履歴事項全部証明書」が必要
    個人の場合:「戸籍抄本」又は「住民票の写しが必要

     

    日本商工会議所で企業登録等が終了すると、郵送で完了のお知らせが郵送されます。
    企業登録番号や、特定原産地証明書発給システムのURLやユーザーID、パスワードが届きます。

     

    ユーザーIDとパスワードは、第一種特定原産地証明書発給システムにログインするときに使用しますのでしっかり保管しておきましょう。

     

    また、企業登録の有効期間は「書類の提出から2年間」です。期限の60日前から更新手続きができます。

    E 原産品判定依頼を行う

    日本商工会議所に企業登録が済んだら、次に輸出する産品が各EPAに定められる原産地規則等を満たしている「特定原産品」であるか、日本商工会議所に判定審査を依頼します。

     

    原産品判定依頼は、特定原産地証明書発給システムより行います。

     

    必要事項を入力し、またCで作成した原産品であることを証明する資料を添付して申請を行います。

     

    日本商工会議所より、原産品について不明な点等があれば問い合わせが来ますので、何度かやりとりする場合があります。

     

    日本商工会議所で原産品判定が終了すると、原産品判定番号が与えられます。

     

    原産品判定結果の有効期間はありません。原産品であると判定された輸出産品については、判定依頼の際に提出した資料の内容に変更がない限り、その判定結果を使用して、同一の輸出産品についての第一種特定原産地証明書の発給申請を繰り返し行うことができます。

     

    しかし、その産品の生産に関する材料調達先や材料価格の変化などがあり、当該協定の原産性を満たさなくなった場合は、改めて原産品判定を行ってください。

     

    これで原産品判定依頼は終了です。
    いよいよ同意通知です!

    F同意通知の提出

    特定原産地証明書発給システムにて、判定済みの原産品判定番号を選択し、同意する相手先の企業登録番号を指定して同意通知を行います。

     

    同意通知書の有効期限は3年以内です。

     

    更新を行わないと、同一通知先の企業が特定原産地証明書の発給申請ができなくなります。
    ご注意ください。

     

    同意通知書を更新するには、第一種特定原産地証明書発給システムにて更新申請が必要となります。

     

    以上で同意通知の一連の流れは終了です!

     

    お疲れさまでした。

     

    当事務所では同意通知書の代行も行っております。
    原産地規則の理解や、HSコードの特定など、高度な専門知識が必要になってきます。

     

    同意通知書でお困りの場合は、お気軽にご連絡ください。

     

     

    ↓こちらもご参照下さい!

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