RCEPで何が変わる?
RCEPは、ASEAN構成国、日本、中国、韓国、豪州及びNZの計15か国が参加する経済連携協定であり、2012年11月に交渉の立上げが宣言され、8年の交渉期間を経て、2020年11月に署名に至りました。
RCEPは世界の人口、国内総生産(GDP)の3割をカバーする巨大経済圏を生み出すものとなっており、参加国全体で9割以上の品目について関税を段階的に撤廃することが合意されました。
ASEAN10か国 (ブルネイ、カンボジア、インド ネシア、ラオス、マレーシア、 ミャンマー、フィリピン、シンガ ポール、タイ、ベトナム)、 日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド
日本はこれまで数多くの国々と経済連携協定を結んできましたが、日本と貿易額が大きい中国や韓国との協定は結ばれてきませんでした。
しかしRCEPにより中国や韓国と間接的に協定が結ばれたことにより、多くの品目で関税が即時撤廃又は段階的に撤廃されるため、これから増々貿易額が伸びることが期待されます。
RCEPでの特定原産地証明書
関税を削減するために必要なのが、他の協定と同じように日本原産を証明する「特定原産地証明書」です。
RCEPの場合、日本商工会議所が発給する第三者証明制度及び認定輸出者制度を採用しています。
また、一定期間以内に生産者・輸出者自己申告も導入する旨を規定しています。
最初に日本商工会議所が原産品判定を行う第三者証明制度を利用し特定原産地証明書を取得し、慣れてきたら最終的には輸出者自らが原産品を証明する輸出者自己申告に移行されるのがよいかと思われます。
そして注目したいのは日本ではこれらに加え、発効時から輸入者自己申告を導入しています。
RCEPで関税削減ができる日本産品例
では皆さんが一番関心がある、どのような品目が関税削減対象なのか見ていきましょう。
今回大きな目玉である中国、韓国向けの輸出についてどうなるのか見ていきます。
下記で掲げている品目は、特定原産地証明書があると、現地での関税がゼロ又は段階的に削減されていく品目です。
やはり中国などは、取引額が大きいので関税削減はインパクトがあるますよね!
中国への輸出
清酒、焼酎、ウイスキー及びボトルワイン等
パックご飯等、米菓、ソース混合調味料、醤油、チョコレート菓子、切り花、ぶり、さけ、すけそうだら、合板(針葉樹)、ほたて、貝類
診断用・理化学用試薬、ポリウレタンの一次製品、シリカゲル(乾燥剤)、インスタントフィルム、抗生物質
合成繊維(長繊維)の織物のほとんど、ゴムひも(被覆したもの)、縫糸(綿)、デニム生地、不織布
プラスチック押出造粒機、エレベーター等の部分品、ブルドーザー、直流発電機のほとんど、家庭用冷蔵庫のほとんど、エアコンの一部、洗濯機の一部、オーブン・電子レンジ
フェロニッケル、合金鋼の一部、熱延鋼板のほとんど、ステンレスのインゴットや半製品
歯科用マイクロモーター、カメラの部分品
トラクター(無限軌道式のもの)、乗用車の一部
エンジンポンプの一部、エンジン部品のほとんど、カムシャフトのほとんど、ギヤボックスの一部、電気自動車用リチウムイオン蓄 電池の電極・素材の一部、電気自動車用モーターの一部、自動車用強化ガラス、自動車用エアコン、フレーム
陰極銅、硫黄、鉄道車両の台車・部分品のほとんど、プラチナの半製品の一部、ゴルフクラブ、ボールペン、化粧用パフ、バドミントンラケット
韓国への輸出
清酒、焼酎、ビール、ウイスキー及びボトルワイン等
キャンディー、板チョコレート、建築用木工品(窓、戸、杭・梁)
酢酸セルロース、ブタンガス、エチレン、プロピレン、絵の具、写真フィルムのほとんど、酵素、磨き料(履物、家具、車両用等)
亜麻織物、綿織物のほとんど、縫糸(人造繊維)、合成繊維(長繊維)の織物のほとんど
アイロンがけ用機械、皿洗機、充填用、口金取付け用機械、スピンドルフライヤー、布地巻取機
スチールたわし、鉄器の一部(南部鉄器等)、鉄鋼製調理用加熱器具のほとんど、セントラルヒーティング用ラジエーター、銑鉄、精製銅のはく (プリント回路基板用)
はかり、眼鏡のフレーム、腕時計
自動二輪車、トレーラー、三輪自転車
ゴム製タイヤ、カムシャフト、クラッチ、自動車用電子系部品、エアバッグ及びその部品、シートベルト、駆動軸
ゴルフクラブ、スキー用品、ぬいぐるみ、電炉用炭素電極
何もしなければ今まで通り関税が掛かる品目も、手続きを行えば関税が削減できる可能性があります。
せっかく用意された仕組みですので、この大きなチャンスを逃さないでください!